コロナ禍で県内の旅館は感染防止対策に万全を期しながら、新たなおもてなしの形を模索している。旅行商品の企画販売を手掛けるDMC天童温泉(山口敦史社長)は宿泊客がそれぞれの宿にいながら、リモートで書き駒の体験ができる将棋の街ならではの企画を準備中だ。
ビデオ会議アプリZoomを使った試みで、書き師の坂本ヨシ江さん(天童市)がDMC天童温泉の事務所にスタンバイし、各宿を中継。宿泊客は3蜜を回避した環境で、坂本さんのアドバイスを受けながら体験する。各宿の従業員はスマートフォンで体験者の手元をアップで写すなどし、リアルタイムでのやりとりを手助けする。
18日のスタートを前に、天童市内で3日に開かれた従業員を主体にした研修会には5~6施設の約10人が参加。坂本さんにこつを教わりながら実際に書き駒に挑戦し、熱心に木地に漆を乗せていった。1時間ほどかけて思い思いの字を書き上げると、筆や漆の取り扱いなども学んだ。参加したいちらくの従業員横山美麗さん(23)、岡崎すずかさん(24)は「お客様から書き駒を体験したいという声を多くもらっていた。宿でできるようになり、楽しんでもらえるのでは」と期待を込めた。
リモートでの体験となると、アシスタント役の従業員の力量が問われる。山口社長は「今こそ地域全体のブランド力を高めることが重要。事前研修を行うことで均一なサービスにしていきたい」と話す。
コロナ禍で、宿泊業が重視してきたおもてなしの形は大きく変わっている。感染防止対策を徹底すれば、制限される部分も生じる。行政のキャンペーンで客足は少しずつ戻ってきているが、旅館には「何か体験したい」というリクエストが増え、これまであったサービスを休止していることを残念がる声も寄せられているという。
リモート書き駒体験を皮切りに、第2弾はバーチャル酒蔵ツアーを計画中。感染対策と両立しながら集客につながる魅力ある新サービスを展開していく予定だ。
―メモ―
天童温泉のリモート書き駒体験は18日以降、毎週金土日の週末や祝日を中心に、午後5時から6時に実施予定。希望者は各宿泊施設のフロントで申し込む。申し込みは宿泊予約時でも可能。体験料は1200円。参加施設など詳細に関する問合せはDMC天童温泉023(654)6699。
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